テーマ3「身のまわりの自然災害」についてもっと深く知りたいみなさんのページです。
メタバースに出ていた写真をもう少しくわしく紹介します。いろいろ調べてください。
地震が発生するとどんな災害が起きるだろう?
熊本地震の被害:建物がこわれ、まわりの道もこわれています。
これだけ壊されると通ることができません。
草千里付近の道路も通れなくなりました。遠くを見ると、がけ崩れが起きています。この崖くずれは、阿蘇への入り口にある立野地区で起きました。この大規模な山崩れのために、阿蘇大橋が崩れてしまったり、南阿蘇村に行くための俵山トンネルや橋が壊されてしまいました。
道路のそばにあった水道管は地震でできた段差のために壊れてしまいました。断水を防ぐために、緊急の工事が行われました。
このほかにも、温泉が出なくなってしまって、旅館やホテルが営業できなくなりました。その一方で、水田から温泉が噴き出したりしました。地震の被害は、建物が壊れるだけではないのです。
地震はどうやって起きたのだろう?
九州中部には、大分市から熊本市につづく構造線(大分-熊本構造線)が伸びています。この構造線は、いくつかの断層がつながったものです。阿蘇カルデラの西側の立野地区付近から西原村を通って益城町や熊本市まで布田川(ふたがわ)断層が伸び、さらに日奈久(ひなぐ)断層が南に伸びています。熊本地震は、布田川断層と日奈久断層の一部が断層運動(地層がずれる)を起こしたことで、発生しました。
南阿蘇村の立野地区には、地震を起こした地層のずれが残っています。地層がいきなり「ズン!」とこれだけずれたことで地震が起きたのです。
同じく、南阿蘇村の立野地区で、道路もセンターラインがずれているのが発見されました。断層を境にして相手側が右にずれています。こういう断層を「右横ずれ断層」と言います。この断層は、遠く益城町まで続きました。地球のすさまじいエネルギーを感じます。
火山噴火が発生するとどんな災害が起きるだろう?
マグマが地下水と接触すると激しい爆発を起こすことがあります。
直径1mや数mの大きさの火山弾が火口近くに飛び出します。また直径10㎝くらいの火山弾は火口から1㎞くらいまで飛ぶことがあります。うしろの郵便ポストと大きさを比べてみてください。
火口から1㎞以内では、激しい爆風が発生し、これまで多くの人命が失われてきました。ですから、火山活動が活発になる傾向が出てきたときには、「噴火警戒レベル」を2に引き上げて、火口から1㎞以内の立ち入りを規制しています。写真は、火口の縁にあった火口カメラのケースです。爆風で押しつぶされています。
火山噴火には、いろいろな噴火があります。これは、火山灰を大量に噴き出す噴火です。
火山灰が降ると、農作物がいたみ出荷できません。車も汚れます。火山灰を吸い込むとのどや肺をいためます。
江戸時代の噴火の記録「湯の谷大変」
南阿蘇村の湯の谷温泉では、過去にいくどかの「水蒸気爆発」が発生しており、文化13年(1816)に発生した水蒸気爆発については「湯の谷大変」として記録が残っています。この事件は文化13(1816)年6月12日午前2時頃に発生しており、湯の谷で水蒸気爆発を起こし、それに伴い土砂や大量の噴石が半径数百メートルの範囲まで飛散しました。この噴火活動は2日間続き、湯小屋や湯宿の破壊といった被害や1名の方が噴石により亡くなるといった被害が発生しています。水蒸気爆発の様子が絵図として残されています。
「湯の谷大変」噴火前の絵図 噴火の前には、湯治の宿などがたくさんあり、にぎわっていた様子がわかります。
*先生方へ
テーマ3では、大雨による災害や土砂崩れなどの災害についてのやさしいデジタル解説資料がないために、取り扱っていませんが、高校生以上を対象とした講座の動画をYouTube で公開しています。その内容を見ていただき、よりかみくだいた解説をしていただけると幸いです。
阿蘇・熊本の大雨などの災害について、熊本地方気象台による講座を開催しており、動画は、こちらです。
阿蘇地方の土砂災害や防災対策について、国土交通省九州地方整備局阿蘇砂防事務所による講座を開催しており、動画はこちらです。
熊本地震がなぜ阿蘇カルデラの西付近で起きたのか?については、こちらに動画があります。
活断層がどのように地震を発生させるのか?については、こちらに動画があります。