阿蘇の旧石器時代

旧石器時代の阿蘇人のくらし

旧石器時代の遺跡(いせき)の分布

旧石器時代、阿蘇人はどこで生活していたのだろう?

*豆知識

遺跡(いせき) むかしの人々が作ったものや使ったものがうまっている場所のこと
発掘調査(はっくつちょうさ) 遺跡を掘って調べること
遺構(いこう) むかしの人々が掘った穴の跡のこと(建物・柱の穴・墓の跡)
遺物(いぶつ) 遺跡で出土した人々の生活を知る手がかりになるもの

1.耳切(みみきり)遺跡(小国町)3-1-01

調査のきっかけ:

涌蓋(わいた)地熱発電所を作る前に調査をした

わかった時代:

旧石器時代から縄文時代にかけて

遺構:

狩猟(しゅりょう)や採集(さいしゅう)をしながらキャンプ的に移動しながら生活していたことがわかる跡

遺物:旧石器時代の人々の生活のようすをしることのできるもの

 

打製石器(石を割っただけのもの) 

台形のものやナイフのかたち

部分的に磨いた跡のある磨製(ませい)石斧(せきふ)など

 

遺物:縄文時代の人々の生活のようすをしることのできるもの

 

集石土坑(しゅうせきどこう)(地面に穴を掘って石を詰めたもの)など

 

    

出土遺物(台形やナイフの形の石器)
集石土坑が見つかったようす 集石土坑の下部の様子

 

2.象ケ鼻(ぞうがはな)遺跡(いせき)(阿蘇市旧阿蘇町) 3-1-02

調査場所:

阿蘇北外輪山(きたがいりんざん)の象ケ鼻頂上部を発掘調査

わかった時代:

旧石器時代

遺物:旧石器時代

打製石器:ナイフ形石器、スクレイパー(ナイフ)

 剥片(はくへん)(石器を作る時にできるかけらのこと)

遺跡の特色:

 

従来から「阿蘇系黒曜石(こくようせき)」と呼ばれるガラス質の石器類が出土していた。

その産地は不明であったが、周辺の外輪山壁に石材の露頭(ろとう)(石器の原材料がみえているところ)が発見された。

その石材は阿蘇―2火砕流(かさいりゅう)の堆積物(たいせきぶつ)の一部がガラス質溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)となっており、石材として利用されていることがわかった。

ナイフ形石器の出土状況 出土遺物(ナイフ形石器)

3.大観峰(だいかんぼう)遺跡(いせき)(阿蘇市旧阿蘇町)3-1-12 

調査場所:

阿蘇北外輪山(きたがいりんざん)の大観峰周辺

わかった時代:

旧石器時代

遺構:

キャンプサイト(生活の拠点としていた場所のこと)

遺物:

主に旧石器時代のもの

剥片尖頭器(はくへんせんとうき)(やりの先のかけら)

スクレイパー(ナイフ)

そのほかに縄文・弥生土器が見つかっている

 

4.下城(しもんじょう)遺跡(いせき)(小国町)3-1-13

調査のきっかけ:

国道212号改良工事にともなう調査

わかった時代:

旧石器時代から縄文時代

遺構:

キャンプサイト、集石遺構、炭化物集中部 文化層(人々の生活層)2層を見つける

遺物:

ナイフ形石器、台形様石器、

尖頭器(せんとうき)(やりの先)、

スクレイパー(ナイフ)、錐(すい)(きり)、

石核(せっかく)(石器などとして割って取った後の石)

 出土遺物(台形石器)  出土状況:集石遺構

 

5.笹倉永迫遺跡(ささくらながさこいせき)(阿蘇市旧波野村3-1-15

調査内容:

広域基幹阿蘇東部線整備事業にともない調査

わかった時代:

旧石器時代

遺構:

石器製作の場

遺物:

ナイフ形石器、剥片尖頭器、

掻器(そうき)(ナイフ、動物の皮などをそぎ落とす道具)、

削器(さっき)(ナイフ、木や骨などをけずる道具)、剥片、

砕片(さいへん)(石器を作るときにできる石くず)、石核

遺跡の特色:

この遺跡は遺構や遺物の出土状況、石器類の原材料などから見ると、石材採取の場所と人々が生活拠点としている場所との中継地点として活用されていたと考えられる。

出土遺物:ナイフ形石器 出土遺物:掻器、削器

 

6.河原(かわはら)遺跡(いせき)(西原村) 3-1-18

調査場所:

西原村河原字大野

わかった時代:

旧石器時代

遺構:

旧石器文化層

熱を受けた礫群(れきぐん)(石が熱を受けたことで赤くなっていること)

縄文文化層

集石遺構

遺物:

細石刃(さいせきじん)石器群

(木や骨、角などで作ったやりの柄の両側に溝をほり、そこに並べてはめこんで使った道具)、

台形石器