生き物どうしのいろいろな関係
生き物どうしには、ふしぎな関係があるよ。
1.オオルリシジミとクララの関係
オオルリシジミは、本州の中部より北側の限られた地域と阿蘇とくじゅうに生息しています。
しかし、本州は絶滅が危ぶまれていて、国内では阿蘇が最も重要な生息地になっています。阿蘇でも近年オオルリシジミの生息の確認が難しくなってきており調査を進めています。
5月ごろになると草原でやさしくしとやかに舞う姿が見られます。
オオルリシジミとクララ |
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オオルリシジミがクララにとまっているよ |
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*オオルリシジミの生活のようす
オオルリシジミの成虫は、5月下旬~6月中旬に年に1回だけ見ることができます。
瑠璃色(紫がかった鮮やかな青色)の表羽に黒い斑点模様があればメスです。
なければオスです。
*オオルリシジミとクララの関係
オオルリシジミは牛が食べないクララに卵を産み付け、生き続けています。
卵の期間は約1週間で、ふ化した幼虫はクララのつぼみと花を食べて成長します。
たくさんクララを食べると紫色に変色します。
そしてクララを降りて土の中でさなぎとなります。
オオルリシジミは、7月から翌年5月までずっとさなぎで過ごします。
2. ダイコクコガネとフン
牛や馬のフンを食べるフン虫で、草原のそうじ屋さんと呼ばれています。
九州から北部の山地に生息しています。
体長はコクワガタぐらいで18~28㎜です。
体は黒色で光っていて、頭に角があります。
成虫は6~10月に現れ、おもに夕方飛び回り、牛馬のフンに集まって食べます。
ダイコクコガネ |
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*ダイコクコガネの生態
フンの下に穴を掘って、フンを運び込んでフン団子を作って穴に引き込みます。
この中に産卵し、幼虫はこのフンをえさにして成長します。
ともしびにも飛んできます。
3.チョウの幼虫とアリの関係
① ゴマシジミの幼虫とシワクシケアリの関係
シワクシケアリは、ゴマシジミの幼虫を自分の巣に運びます。幼虫はシワクシケアリの幼虫を食べて成長します。
② クロシジミの幼虫とクロオオアリの関係
クロシジミの幼虫は、クロオオアリの巣の中でえさをもらって成長していきます。
4.阿蘇草原でいろいろな生き物が生き抜いているひみつ
阿蘇の草原では、採草(草を刈って利用する)、放牧等の様々な土地利用がなされることで、いろいろな生物が生きている豊かな草原となっています。植物は約600種(たくさんの希少植物を含む)が生育し、チョウ類は109種(熊本県産117種のほとんど)が生息し、「チョウの楽園」とも言われています。
いろいろな生き物を守るための工夫
オオルリシジミの1年と草原の1年 |
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オオルリシジミは牛が食べないクララに卵を産み付け、生き続けています。このバランスを壊さないような人々の生活や牧野の利用が、オオルリシジミが生き続けていくことに必要なのです。人が適切な活動をしないと生息できない生物が存在している、つまり、人の関わりが草原の生物多様性保全にとって大切なのです。
5.植物が効率よく授粉するための工夫
① 蜂を呼ぶマタタビの工夫
猫が大好きなマタタビは白い葉っぱが目につきますがそのうち緑の葉っぱだけになります。
マタタビは花をつけると葉っぱを白くし、蜂を呼びます。受粉がすむと白かった葉っぱは緑に戻ります。蜂が白い葉っぱに呼び寄せられて受粉を手伝ってもらうための工夫だったのです。
② ハコネウツギのひみつ
まず白い花が咲きます。
蜂は白い花の蜜を吸いに来ます。
花は受粉するとピンク色に変わります。
蜂は残った白い花の蜜を吸いに来ます。ピンク色の花にはとまりません。
受粉をすべて終わると、花は全部ピンク色になります。
蜂に無駄なく受粉してもらうためのハコネウツギの工夫です。