中原楽
中原地区に伝わり、地区の熊野座神社と小国町の両神社の祭で奉納されてい
る。赤いたすき掛けの衣装やなぎなた、ひょうたん突きの舞い、太鼓、笛、チャッパ
による楽(囃子)は室町時代に流行した風流踊り(ふりゅうおどり)や念仏踊りが原
型と思われる。農民が労働の合間の余暇を楽しむために生まれた民間芸能が元に
なっている。派手な飾りを身につけることを当時は風流といった。
地名の後に付く「楽」は神仏を喜ばせるために奏でる音のことで、「〇〇楽」(〇
は地名)という名前で伝わる芸能は北部九州によく見られる。(例えば「下城楽」「黒川楽」など)
また、「瓢箪突き」という棒踊りは阿蘇市荻の草地区でも伝えられている(県指
定重要無形文化財)
吉原神楽
吉原地区に伝わる国指定選択無形文化財の里神楽で、大分県の城原地区から
伝えられたといわれている。阿蘇市波野地区に伝わる中江岩戸神楽や南阿蘇村長
野地区に伝わる長野岩戸神楽と共通する演目が多く、民間芸能としての豊後系岩
戸神楽の広がりと地域の特性を考える上で興味深い。
南阿小国町に伝わる中原楽と吉原神楽は江戸時代以後農村に民間芸能が広が
り、それが地域の神社で行われる祭と結びついたもので農村芸能の特徴である。