4-2-03 熊本地震でずれた望遠鏡

1.地震でずれた望遠鏡(阿蘇火山博物館)

大きな地震が起きると、多くの皆さんは「ユサユサ」揺れると想像されるでしょう。起震車の体験でも、「ユサユサ」と揺れています。しかし、実際にはそうではありません。大きな地震の震源近くでは、「ズン!」とひと揺れするだけです。

阿蘇火山博物館の3階には、地震でずれた望遠鏡があります。

地震の前には、手前の六角形の印の上に望遠鏡がありました。この写真を見ると、望遠鏡が奥にずれたように見えます。しかし、本当は、博物館の建物やまわりの草原全体が、手前に動いたのです。皆さんは、「ダルマ落とし」をやったことがありますか?阿蘇の神様「タケイワタツノミコト」は、博物館の建物・草原全体を「ズン!」とたたきました。望遠鏡は、そのままの場所にいたのです。大きな地震は、このようにまわりの土地全体を一瞬のうちに動かすのです。

 

2.熊本地震を起こした布田川断層の動き

九州や四国をのせたアジアプレートの下に、フィリピン海プレートが沈み込んでいます。ただ、フィリピン海プレートは、北西方向に沈み込んでいるために、四国や九州の南半分は西側に引きずられています。この動きは、四国では「中央構造線」、九州では「大分-熊本構造線」と呼ばれています。「大分-熊本構造線」の西半分は、阿蘇カルデラ西側の立野地区から益城町を走っており、「布田川断層」と呼ばれています。この断層は、右横ずれ断層となっています。